冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
「……私、多分レイが思っているより我儘だと思う。レイを好きになったらきっと独占したくなる。レイの行動に口出ししてしまうかもしれない。それでもいいの?」

 レイは心から嬉しそうに明るく微笑むと、私をそっと抱きしめた。

「ローナは全然我儘じゃないだろ? 人に対して寛容で思いやりがある。でももし我儘を言ってもローナだったらいい。一生俺を束縛すればいい」

 ああ、こんな風に抱きしめられて優しく囁かれたら、もう無理だ。
 レイの思惑通り、恋に落ちてしまいそう。

 でも、それもいいかなと思ってしまう。

 諦めていたけれど、本当は愛のある結婚を望んでいた。
 レイを本当に好きになって、好きになって貰って仲良く暮らせるのなら、それ以上の幸せは無いと思う。

「いつか、俺無しじゃ居られないって言わせてやる」

 レイが私を抱く腕に力を込めて言う。
 心地よい息ぐるしさを感じながら、私は思った。

 そう遠くない日に、レイの言う通りになりそうだって。
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