冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
 でもレイが一緒なら大丈夫だ。

 レイは外交で他国へ行く事も有るし、王都以外の街への視察も時々行くそうだから、王都近くのプラムの街なんて簡単に行けるだろう。

 剣の腕もかなりの腕と噂があるから、万が一物盗りにでも遭ってしまっても何とかなるだろうし。

「プラムか……」

 レイは何か考えこんでいるようだ。
 しばらくすると私に視線を向けて来た。

「あまりデートに向いていない町だと思うがいいのか?」

 そんな事を聞かれてもデート自体初めての私には判断しようがないので、思った事をそのまま伝える。

「よく分からないけど、プラムには前から行きたかったの。そこにレイと行けるなんてとても楽しみだと思うんだけど」
「……俺と行くのが嬉しいのか?」
「そうだけど」

 こくりと頷くと、レイはふいと目を逸らしてしまった。

 どうしたのかと様子を窺えば少し耳が赤くなっている。

 まさか……照れているの?

 女性との会話など慣れきっているだろうレイの意外な反応に私の方が戸惑ってしまっていると、レイは再び私の方を向き、やる気溢れる声を出した。

「ローナ、計画は俺に任せておけ。最高のプラム観光を約束する!」
「あ、ありがとう」

 妙に張り切ってしまったレイに少し驚いてしまうけれど、プラム行きはとても楽しみだ。

 貴重な外出も、一日レイと過ごせる事も楽しみで仕方無い。
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