冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
道中何の問題も無く、無事にプラムの街に着いた。
街の外れに馬車を止め、そこからは歩いて移動する。
今日の私達は次期公爵と男爵令嬢ではなく、貴族家に仕える騎士と侍女の設定だ。
レイがただの騎士に見えない気はするけど、いつもと違う事をするのは結構楽しい。
おしゃべりをしながら歩いていると、あっと言う間に街の中心に到着した。
プラムの街は想像以上に賑わっていた。
街の大きさは王都に比べればそれ程ではないけれど、人の多さと熱気が凄い。
「ローナ、離れるなよ」
レイが私の手を掴んで言う。
そのまま離してくれないので、私達は手を繋いで歩く事になった。
お店が並んでいる大通りは特に人が集中していた。
レイが先に歩き私を背中に庇ってくれる。
そのおかげで私は誰にもぶつかったり押されたりする事なく、安心してお店を眺める事が出来る。
いろいろな品を目にしている中、一際私の興味を惹くものが視界に入った。
「レイ、あのお店をゆっくり見たいわ」
声をかけるとレイは立ち止まり私の目当ての店に連れて行ってくれる。
「布が欲しいのか?」
店をざっと見渡すとレイは不思議そうに聞いて来た。
きっと何に使うんだと思っているのだろう。この国の一般的な貴族令嬢は刺繍は嗜むけど、裁縫はしないから。
外から眺めた時、私はとても素敵な生地を見つけていた。
光沢のある品のある青色で、金糸銀糸の刺繍が控え目に施されている。
見つけた瞬間、レイに似合うと思った。
飾られているその生地を手に取ってみた。触り心地も上等だ。
うん、思った通り凄く良いかも。
殆ど一目ぼれ状態だ。私は近くに居た店員に声をかけた。
「この生地の値段を窺いたいのですが」
店員は私の示す生地を確認するとニコリを口元に笑みを浮かべて言った。
「こちらは一反、一万ゴールドで御座います」
「い、一万?」
街の外れに馬車を止め、そこからは歩いて移動する。
今日の私達は次期公爵と男爵令嬢ではなく、貴族家に仕える騎士と侍女の設定だ。
レイがただの騎士に見えない気はするけど、いつもと違う事をするのは結構楽しい。
おしゃべりをしながら歩いていると、あっと言う間に街の中心に到着した。
プラムの街は想像以上に賑わっていた。
街の大きさは王都に比べればそれ程ではないけれど、人の多さと熱気が凄い。
「ローナ、離れるなよ」
レイが私の手を掴んで言う。
そのまま離してくれないので、私達は手を繋いで歩く事になった。
お店が並んでいる大通りは特に人が集中していた。
レイが先に歩き私を背中に庇ってくれる。
そのおかげで私は誰にもぶつかったり押されたりする事なく、安心してお店を眺める事が出来る。
いろいろな品を目にしている中、一際私の興味を惹くものが視界に入った。
「レイ、あのお店をゆっくり見たいわ」
声をかけるとレイは立ち止まり私の目当ての店に連れて行ってくれる。
「布が欲しいのか?」
店をざっと見渡すとレイは不思議そうに聞いて来た。
きっと何に使うんだと思っているのだろう。この国の一般的な貴族令嬢は刺繍は嗜むけど、裁縫はしないから。
外から眺めた時、私はとても素敵な生地を見つけていた。
光沢のある品のある青色で、金糸銀糸の刺繍が控え目に施されている。
見つけた瞬間、レイに似合うと思った。
飾られているその生地を手に取ってみた。触り心地も上等だ。
うん、思った通り凄く良いかも。
殆ど一目ぼれ状態だ。私は近くに居た店員に声をかけた。
「この生地の値段を窺いたいのですが」
店員は私の示す生地を確認するとニコリを口元に笑みを浮かべて言った。
「こちらは一反、一万ゴールドで御座います」
「い、一万?」