冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
予想以上の高額だ。
私の貯金の殆どが無くなってしまう。
でも……私はもう一度生地に目を向けた。
見れば見る程レイに似合いそう。
品物もとても良いから、金額としては多分妥当なんだと思う。
ただ私の経済力が無いから高額に感じてしまうだけで。
半ば購入に気持ちを傾けながら悩んでいると、私の様子を見ていたレイが言った。
「その布が欲しいのか?」
「え? ええ」
考え込んでいた私は深く考えずに頷いてしまう。
するとレイは店員に向かって何でもない事のように言った。
「この布を全て貰おう」
「えっ?」
驚きの声を上げる私にレイは魅惑的な微笑みを向けて来る。
「欲しいものがあるなら俺に言えばいい。ローナの欲しいものなら何でも手にいれてみせる」
なんて頼もしい言葉だろう。だけど今の場合は困ってしまう。
レイへのプレゼントなのに、レイに買って貰うなんてあり得ない。
「いいの! これは自分で買いたいの」
途端にレイは表情を曇らせる。
「どうしてだ?」
「どうしてって……だっていつも貰ってばかりじゃ悪いでしょ?」
「ローナは俺の妻になるんだ。結婚したら俺の財産はローナのものになるんだから遠慮は要らない」
「そ、そんな……」
私の貯金の殆どが無くなってしまう。
でも……私はもう一度生地に目を向けた。
見れば見る程レイに似合いそう。
品物もとても良いから、金額としては多分妥当なんだと思う。
ただ私の経済力が無いから高額に感じてしまうだけで。
半ば購入に気持ちを傾けながら悩んでいると、私の様子を見ていたレイが言った。
「その布が欲しいのか?」
「え? ええ」
考え込んでいた私は深く考えずに頷いてしまう。
するとレイは店員に向かって何でもない事のように言った。
「この布を全て貰おう」
「えっ?」
驚きの声を上げる私にレイは魅惑的な微笑みを向けて来る。
「欲しいものがあるなら俺に言えばいい。ローナの欲しいものなら何でも手にいれてみせる」
なんて頼もしい言葉だろう。だけど今の場合は困ってしまう。
レイへのプレゼントなのに、レイに買って貰うなんてあり得ない。
「いいの! これは自分で買いたいの」
途端にレイは表情を曇らせる。
「どうしてだ?」
「どうしてって……だっていつも貰ってばかりじゃ悪いでしょ?」
「ローナは俺の妻になるんだ。結婚したら俺の財産はローナのものになるんだから遠慮は要らない」
「そ、そんな……」