冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
「ローナ様、大丈夫ですか?」
私は感情を抑える為強く手を握り締めた。
爪が手のひらに食い込んで鋭く痛むけれど、正気を保てる。
「ごめんなさい取り乱してしまって」
なんとか言うとキャシー様は首を振った。
「お気になさらないで、無理も有りませんわ」
「……なぜキャシー様は私にレイの事を?」
一番親しいエレインも、普段から交流のある令嬢達も、誰もレイとティアナ様の事を教えてくれなかった。
それなのに、なぜ挨拶程度の関係だったキャシー様がここまで詳しく知らせてくれるのだろう。
「わたくしも以前婚約者に裏切られ、婚約破棄になりましたの。だからアークライト様とティアナ様の為さりようが許せないのですわ」
キャシー様の過去にそんな事が?
そう言えばキャシー様には婚約者がいないし、候補の男性がいるという話も聞いた事がない。
裕福な子爵家の令嬢としては異例の事だけれど、きっと過去の事情から本人が結婚を拒否しているのだろう。
「ごめんなさい辛い事を思い出させてしまって」
私の謝罪にキャシー様は悲しそうに眉を下げた。
「お気になさらないで、過去の恨みはもう忘れています。ですが、今哀しんでいる女性がいるのを黙って見ている事は出来ませんわ。アークライト様とティアナ様。あのふたりには何としてもローナ様に償って欲しいです。そしてふたりを黙認している周りの方もわたくしは許せません」
「周りの方?」
「王太子殿下にエレイン伯爵令嬢。他、その取り巻き達ですわ。アークライト様とローナ様の婚約は社交界では誰もが知っている事ですのに、皆当たり前のようにアークライト様とティアナ様を受け入れているのです」
「……エレインが?」
レイの事で弱った心が、粉々に砕けてしまいそうな程の衝撃を感じた。
エレイン……親友だと思っていたのに。
私は感情を抑える為強く手を握り締めた。
爪が手のひらに食い込んで鋭く痛むけれど、正気を保てる。
「ごめんなさい取り乱してしまって」
なんとか言うとキャシー様は首を振った。
「お気になさらないで、無理も有りませんわ」
「……なぜキャシー様は私にレイの事を?」
一番親しいエレインも、普段から交流のある令嬢達も、誰もレイとティアナ様の事を教えてくれなかった。
それなのに、なぜ挨拶程度の関係だったキャシー様がここまで詳しく知らせてくれるのだろう。
「わたくしも以前婚約者に裏切られ、婚約破棄になりましたの。だからアークライト様とティアナ様の為さりようが許せないのですわ」
キャシー様の過去にそんな事が?
そう言えばキャシー様には婚約者がいないし、候補の男性がいるという話も聞いた事がない。
裕福な子爵家の令嬢としては異例の事だけれど、きっと過去の事情から本人が結婚を拒否しているのだろう。
「ごめんなさい辛い事を思い出させてしまって」
私の謝罪にキャシー様は悲しそうに眉を下げた。
「お気になさらないで、過去の恨みはもう忘れています。ですが、今哀しんでいる女性がいるのを黙って見ている事は出来ませんわ。アークライト様とティアナ様。あのふたりには何としてもローナ様に償って欲しいです。そしてふたりを黙認している周りの方もわたくしは許せません」
「周りの方?」
「王太子殿下にエレイン伯爵令嬢。他、その取り巻き達ですわ。アークライト様とローナ様の婚約は社交界では誰もが知っている事ですのに、皆当たり前のようにアークライト様とティアナ様を受け入れているのです」
「……エレインが?」
レイの事で弱った心が、粉々に砕けてしまいそうな程の衝撃を感じた。
エレイン……親友だと思っていたのに。