冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
 ふたりの事が頭から離れない。

 自分の部屋に戻りお気にいりのお茶を飲んでも、もう眠ってしまおうと横になって目を瞑っても、身体を巡る言いようのなに衝動が消えてくれない。

 これは悲しみ? 怒り?

 自分でもよく分からなくて持て余してしまう。

 気が付けばキャシー様が残していったアストン家の招待状を、ぼんやりと見ていた。

 この招待状はどうするべきなんだろう。
 キャシー様が言ったように夜会に乗り込んでふたりを責める事なんて私には出来ないし、したくない。

 だけど何もせずにただここで時が過ぎるのを待つ事も限界に感じた。

 私は、何をしたいのだろう。



◇◇◇

 数時間後。

 散々悩んだ挙句、私はアストン家の夜会に参加する決心をした。

 ふたりを責めに行く為じゃない。
 真実を自分の目で確かめに行く為だ。
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