【短編】泣き顔記念日
片想い
七瀬は、いつだって泣かなかった。
幼稚園のころ、節分で鬼がやってきた時も、
小学生のころ入った、お化け屋敷も。
先に泣いたのはいつだって僕で。
彼女はそのたんびに、僕の手をギュッ捕まえて「大丈夫」って笑っていた。
そう。
君はどんな時でも笑ってた。
転んだ時も、怒られた時も。
ずっとずっと。
でも、そんな君が最近は笑わなくなった。
いや、正確にはあの頃のように無邪気に笑わなくなった、が正解かもしれない。
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