【短編】泣き顔記念日
泣き顔記念日
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『遅くなりそう(汗)
先に帰ってて(ごめん)』
七瀬からそんなメッセージが来たのは、放課後、誰もいなくなった教室で、委員会の仕事をしてる七瀬を待ってる時だった。
僕が唯一、七瀬と2人で過ごせる登下校の時間。
その1日の1つが今日欠ける。
『分かった。気をつけて帰って』
僕たちは幼なじみでそれ以上でもそれ以下でもない。
帰ってと言われたら帰るし、「いや、待ってるよ」なんて彼氏みたいなことは言えない。
僕は、七瀬と帰れなくなったことに肩を落としながら教室を後にした。