【短編】泣き顔記念日

いつからそういう目で、とかそういうのは違う気がして、でも結果周りが女の子を意識しだすほんの少し前からなような気もして。


ただ、1つ言えることは、あの豊田ってやつより絶対僕の方が七瀬をわかっているし、七瀬を好きだ。



「るい〜男子って今日の体育どこでやるの?」



やっと彼女が僕の方を振り返ってそう聞いてきた。


地味な僕に似合わない名前が嫌いだけど、


七瀬に呼ばれる時だけは、自分の名前がほんの少し好きになる。


「バスケだから体育館だよ」


僕がそう答えると、「女子はバドだから豊田くん見られるじゃーん!」なんて彼女の友達が騒ぐ。



なんだ。


騒いでる友達と一緒に少し恥ずかしそうに笑う七瀬。


バカみたい。


やっと話しかけてくれたと思ったら、あいつの話かよ。



七瀬の控えめな女の子らしい笑い方。


君にそんなもの、全然似合わないよ。



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