もう一人の自分
世の中には自分と同じ人間が三人居る、と聞いた事がある。私はそんな迷信を信じてはいない。然し、万一出会えたのならば、この逃げ場の無い劣等感を共有出来る事だろう。是非、会ってみたい。元来、この旅に目的も計画も無いのだ。探しに行こう。欲張りはいけない。一人、出会えたのなら、それで良い。この旅は、友人に伝えた通り、「もう一人の自分を探す旅」だ。
一体、何処にいるのだろうか。賑わう街中か、閑静な田舎か。否、私の事だから、また何処かへ逃げるように旅に出ているのかもしれない。遠方に海が見えた。
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