君は失速を知らない。
でも、そんなことはもう感じないくらいに忙しかった。

中学生は、小学生とは違ってテストも生半可な気持ちではやっていけない。

なぜなら、未来にかかわるから。


それに、小学校の頃のテストとは打って変わって、100点を取ることも難しい。

勉強なしで100点を取れるほど、テストは甘くなかった。

点数が取れないとなると、やる気もモチベーションも下がって、それに比例するように点数も下がった。



それに、部活。


中学生になる前から決めていたソフトテニス部に入部。

動機としては、習い事の水泳と剣道を続けられるから。

ソフトテニス部は結構ゆるくて、日曜日に部活が無かったし、土曜日も午前中で終わりだった。

習い事をしている先輩の数もすごく多いし。



でも、入部したのはいいものの、大変だった。

こちらでももう小学生じゃないことを痛いほどに教えられた。


挨拶、敬語、上下関係。


基本ゆるいここでは、何故かそこはきつく取り締まられた。


緩いと言われながらも、練習はキツかった。


素振り1000回をこなす日々。

それが続いた。


でも、そんなことを忘れていまうくらい、やっぱりあいつらとの話は面白かった。

特に翔。

あいつだけ部活には入らなかった。

何でも、「水泳一本で行きたい。」からだそうで。


でも実際、翔が水泳以外のスポーツに熱中する所なんて見たこともないし、聞いたこともなかった。

小学校の卒業アルバムにも、しっかりとした綺麗な字で、

【水泳選手】

となりたいもののところに書いていたし。

翔らいしなー。
とか言いながら葵と微笑んだ。

ちなみに彼女はバトミントン部に入った。

葵は昔からバトミントンをやっていたから、何となく予想はついていた。



でも、いくら3人での話が楽しいからって、現実は変わってなんかくれなかった。
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