「付き合ってください。」
もう少し何かあっただろ、と思う。
名前が書いてあったら、とか
直接伝えてくれたら、とか
幾つも私がこの手紙の相手を
そういう対象に見たり、考えたりすることは出来るのに。
「これは流石に無理だねー」
うららが私の手から紙を取って
くしゃ、と丸めた。
「あー…うん、」
少し可愛そうかな?とも思ったが
いやはやそんなこと考えてる暇がないくらい追い詰められているんだ。
なんて追い詰められてる人が
思わないようなことを自分に言い聞かせて
そのままゴミ箱へ投げ込むうららを
見つめる。
「これ以上酷くなったら警察だね」
「そんな大げさな…」
ポキ、と肩を鳴らしたうららに
苦笑いを返した。
ほんと、誰なんだろう
手紙の主は。