雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~


「……どうして、キスなんてするの」

涙を落とす私の瞼に君は優しくキスをして、私を抱きしめる。


「死ぬなんて、言うなよ──」

「離してよ」


「嫌だ」

私は、律が好きなんだ。

紫色とのキスやハグは、嫌なんだ。


そう言い聞かせる。

「私は、律が好きなのに…律の彼女なのに」

進めない。

「どうしてそんな私にキスなんかできるの!!」

立ち止まっている、よりは

戻っているのかもしれない。


あの頃に。
< 132 / 211 >

この作品をシェア

pagetop