雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~


墓地について、君を探す。

しばらく歩き回っていると

「あ……」


雨の中、
艶やかな黒髪から水滴を垂らして

ひとつのお墓と花束の前で
俯いて立っている綺麗な1人の少年。


その立ち姿が儚くて、消えてしまいそうで

「……紫色っ…!!」

抱きついていた。


「…っ!?……あ、め…?」

震えている紫色の声が泣いていたんだと、
教えてくれた。



全身びしょ濡れの紫色は色っぽくて

儚く消えてしまいそうなほど、綺麗だ。
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