雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~

「雨、先に風呂入ってこい」

バスタオルと着替えを差し出しながら紫色は言う。


「でも、紫色が先に入りなよ…私より雨に当たってるんだから……」



「いや、俺は後でいいよ」

「私も後でいいもん……」

そう言い合いを何度かしたところで
紫色は面倒くさそうにため息をつく。


「じゃあ、一緒に入る?」


「……………………………………!!??!?」

紫色の爆弾発言に固まる私。

「ってことで風呂場へゴー」

私の手を引いてお風呂場へ歩き出す紫色。


ほ、本気!?

「さ、先に入ります!!」


「……ふっ、よく出来ました」

そういたずらに笑った君は頬にキスを落とす。


「もうっ!」

赤くなった頬を隠すようにお風呂場へ駆け込んだ。



何か…紫色が、大胆になってる。

「心臓…持つかな………」

私の不安げな声は虚しく響いた。
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