雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~
「………雨」
私が来ると幸せそうに笑って
愛しそうに、私の名を呼ぶ。
「できた?」
「できた!」
「俺もできた」
そんな会話をしながら、歩く。
「俺ん家、来る?」
あれから何度も行った紫色の家。
今じゃ自分の家のように熟知している。
「行くー!」
「今日は鍋にしようか…」
はしゃぐ私を愛しそうに見つめてそう呟いた。
「鍋!」
「今日、寒いもんね」
そう言ってはぁと白い息を吐くと、君は私の冷たい手を握ってコートのポケットに突っ込んだ。
「温かくなったろ?」
優しく微笑む紫色の艶やかな黒髪と降り始めた純白の雪が綺麗で見とれてしまう。
「何」
紫色はクスッと笑って意地悪に笑う。
「あ、キスして欲しいのか」
「えぇ!ちがっ……」
気付いた時にはもう遅くて
ちゅっとリップ音を立ててキスをする紫色。
「~~~っ」
真っ赤になった私の顔を嬉しそうに見つめて
「もっと、意識して」
そう妖艶に笑う。
「早く、好きになれよ」
ドキドキ早まる心臓が
何か気付かせてくれるような気がした。