雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~


「スーパー、とーちゃく」

紫色はかごを持って具材を入れていく。


「お菓子買ってい?」

私の言葉に紫色は可笑しそうに笑って

「子供みてぇ……いいよ」

と頭を撫でた。


子供……扱いされてる気がする。

適当にお菓子をかごに入れ、レジに持って言った。


「お金割り勘でー、はい!」


「いいっつっても聞かねぇからな、雨は」

“そういうとこも、好きなんだけどさ”


そうドキドキさせるようなことを、サラリと言って笑う紫色。

お会計を済ませて、手を繋いで帰る。


「雪、積もるかな………」

薄らと積もった雪を見て明日の景色を想像する。


「積もるだろうな」

そっか……

“律が死んだ” って聞いたあの日。

綺麗に雪が降ってたから。
ムカつくほど綺麗だったから、雪はあんまり好きじゃないけれど。

「紫色が、隣にいてくれたら…」

小さい声で呟くと


「いるよ、ずっといる」

そう、君は優しく笑った。


聞こえてたんだ……

頬を染めた私を愛しそうに見つめる、その視線に耐えれなくて。

「早く帰ろ!」

そう紫色の手をひっぱった。
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