雨上がりの陽だまりで。~誰よりも優しい君に~

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「もう、卒業とか…早ぇな」

紫色が校舎を見て寂しそうに呟く。


そう、今日は卒業式なのだ。

「答辞、緊張すんなー」


紫色は学年主席だから
卒業生の代表で答辞をするのだ。

「紫色なら大丈夫」


たくさん、書き換えて。
たくさん、練習してたもんね。

内容は知らないけど。


紫色の事だから、とてもいいことを言うのだろう。

「雨が大丈夫って言うなら大丈夫だな」


そう優しく笑う紫色。

「うん、大丈夫」


私もつられて優しく笑った。


きっと、紫色は大丈夫。

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