きっと、君に恋をする。


「それだけは、ずっと忘れんなよ」

するりと絡んだ指を離して、ポンと私の頭を撫でた。


「ほら、帰ろうぜ」

二、三歩先に進んだ雪は振り返りながら微笑む。

夕焼けの色に染まったその少し儚い笑顔に泣きそうになったのは、どうしてなんだろう。


「あ、雪待って」


タタっと駆けて「ん」と差し出された大きな手に自分の手を重ねる。


目の前には2人の、長い影があった。

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