きっと、君に恋をする。
────ピピピピピピピ
耳元から聞こえる機会の音に意識が戻る。
何かいい夢を見た気がするけれど、目が覚めると何も無かったみたいに頭から消えていった。
薄暗い部屋にカーテンから漏れた光がひらひらと漂って、窓を開けると涼しい風が入り込んで小さく鳥の声が聞こえてくる。
ぐっと背伸びをして、のそのそとベッドから抜け出した。
部屋着を寝ぼけ眼で脱いで、ハンガーに掛けてある白いシャツに腕を通す。
ワインレッドのネクタイを緩く結んでふたつ開けたボタンの下に置いた結び目は少し大きい。
履きなれた黒色のズボンを履いて、カチャカチャとベルトを苦しくない程度にしてから、黒色のパーカーを手に持ってリビングへ降りた。