きっと、君に恋をする。


私が微笑むと、桜はぐっと涙を拭う。


「今はね、雪が、すごく好きで」


そう言うと、桜は頬を染めて、「そっか」と小さく呟く。


「…でも、雪には好きな人がいるみたい」

「えっ、…それって」


「誰かは、わかんない……けど、私がいるせいで、雪は好きな人の元に行けないでしょ?」


教室の窓を開けると中庭が見えて、そよそよ小さく風が吹いた。


「だから、離れないと…」

ぽろりと頬に流れた雫は、そのまま下へ落ちていく。

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