きっと、君に恋をする。


「……れる」

背中から聞こえた桜の悲しげな声に、振り返って笑顔を見せる。


「彼は優しいから、自分から離れるとは、きっと言わないもの」

だから、私から言わなきゃ。



「不器用、だなぁ」


桜がそうやって泣きながら笑うから、「そうかな」って俯いて涙を隠した。


「後夜祭は、どうするの?」


「最後にする…手を繋ぐのも隣に行くのも。後夜祭で最後」


開けた窓から空を見上げると雲がゆっくりと流れていた。


「告わないの…?」


「告わないよ」

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