きっと、君に恋をする。


「雪」


彼の名前を呼ぶと、薄暗い教室の黒板の前に立っていた雪は嬉しそうに笑う。


「早かったな」

「…近くにいたから」


そう言いながら雪の横に行くと、雪はすっと私の頬を撫でる。


「……泣いてた」

体育館でのことだろうか。

「感動しちゃった」


「…ほんとに、それだけ?」

見透かすような真っ黒な瞳で見つめる雪を見つめ返して微笑む。


「ほんと」

「そか、よかった」

ホッと息をついてすりすりと頬を指で撫でる。

「…悲しそうな顔、してたから」

< 342 / 421 >

この作品をシェア

pagetop