きっと、君に恋をする。
「─────で、ここが3となって…」
解く気の失せる数式を見て手を止める。
桜って数学嫌いだったなー。
面白いくらいに。
『な、何で…数学なのに英語があるのよ!』
『点P動くなぁぁあ!』
『証明なんて証明出来るから、この問題が存在してるんでしょぉぉお!』
『日常でこんな因数分解とか使わないから…!』
『ねぇ、何この曲がったグラフ…座標を求めろ?まず座標て何よ』
『兄め、忘れ物なんてするなよぉお!』
『なんで池の周りを意味もなく2人で回ってるの、こいつら…』
『生徒の数なんて…名簿みろバカヤロー!』
『どうして…値段隠して売りたがるの……』
夏休みに中学の問題から教えようとしても
そう言って問題を飛ばしてたなぁ。
泣きながらそう叫ぶ桜の口の悪さが面白すぎて、ずっと笑ってたし。
「……であるから、xを代入して───」
つまらない授業の先生の声は眠り歌になって、一番眠たくなる時間だから私たちにとっては睡魔との闘い。
まぁ、ぐっすり素直に寝てる子もいるけれど。
桜を見ながらクスッと笑う。