東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
副社長VS企業社員!?
持ち切り状態だった私の産業スパイ疑惑はあっと言う間に消え、その後はいつものように仕事をすることができた。

その日もいつもの時間に仕事を終えると、私は会社を後にした。

「えーっと…」

画面に表示されている地図を頼りに、私は村坂さんとの待ちあわせ場所へと足を向かわせた。

「ああ、ここだ」

到着したのは会社からかなり離れている小さなバーだった。

『Bartender』――店名は“バーテンダー”って読むのかな?

いかにも、“隠れ家”って言う感じの雰囲気である。

キョロキョロと首を動かして周りに誰もいないことを確認すると、アンティーク調の木製のドアに手をかけた。

ドアを押すと、滑り込むように中へと入った。

「いらっしゃいませ」

若いバーテンダーがコソコソと入ってきた私を迎えてくれた。
< 129 / 271 >

この作品をシェア

pagetop