東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「そうか、それはよかったよ」

村坂さんがホッとしたように返事をすると、
「お待たせしました」

バーテンダーが村坂さんの前にグラスを置いた。

「どうも、ありがとう」

村坂さんはバーテンダーにお礼を言うと、グラスに口をつけた。

「ふうっ…ここ、隠れ家的な感じがしてとてもいいだろう?」

そう聞いてきた村坂さんに、
「そうですね、ジャズも流れていますし」

私は店内を流れているジャズに耳を傾けながら返事をした。

「何より、バーテンダーが若いイケメンだからね」

村坂さんが笑いながら言ったら、
「ちょっと、褒めても何も出ませんよー」

バーテンダーが満更でもないと言うように笑いながら言い返した。

どうやら村坂さんもここの常連みたいだ。

「それよりも…まさか、週刊誌に撮られたとは思いもしなかったな」

思い出したと言うように村坂さんがその話題を出した。
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