東京恋愛専科～または恋は言ってみりゃボディブロー～
「副社長、専務の娘さんと結婚をするんだそうですよ！

それで朝からこの話題で持ち切りなんですよー！」

ミカちゃんがキャッキャッと笑いながら話をしているけれど、私は笑うことができなかった。

副社長が結婚ってどう言うことなの？

しかも専務の娘さんって、何なの？

私と会いながら、密かに専務の娘さんと交際をしていたこと？

二股――副社長とつきあっている訳ではないからそうならないけれど、要はそう言うことだよね？

「つづり先輩？」

私が笑っていないことを不思議に思ったミカちゃんが顔を覗き込んできた。

「…そ、そうなんだ」

そう返事をした私は、どんな顔をしていたのだろうか？

たぶん、ひどいくらいに真っ青な顔をしていたことだろう。

副社長の口からつきあっている人がいるなんて聞いたことがなかった。

いや、私が聞いていないだけか。

それとも、副社長が言わなかっただけなのか。

…どちらにしろ、よくわからないけど。
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