東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「それにしても…杉浦先輩、どこに行っちゃったんだろう」

そう言ったミカちゃんに、彼の姿がこのオフィスにいないことに私は気づいた。

この時間帯は彼はもうすでにきていて仕事を始めている。

「まだきていないんじゃなくて?」

そう聞き返した私に、
「つづり先輩がくる前に杉浦先輩にこのことを話したんです。

そしたら杉浦先輩、血相を変えて逃げるようにどこかへ行っちゃったんですよ」

ミカちゃんが答えた。

「急にお腹が痛くなったからトイレにでも行ったんじゃない?」

私がそう言ったら、
「そうなんですかね」

ミカちゃんはうーんと、首を傾げた。

自分のデスクに腰を下ろすと、パソコンにメールがきていることに気づいた。

社長からだった。

『こんなところからすみません

つづりちゃんの都合がよかったらだけど、お昼休みに時間がありますか?

社長室で話したいことがあるので』

社長からきたメールには、そんなことが書いてあった。
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