東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
話したいことって、副社長のことだよね?

黙っていて申し訳なかったって言われるの?

それとも、知らなかったと言って謝られるの?

どちらにしろよくわからないけれど、悪い方であることは確かだ。

私は深呼吸をすると、キーボードを動かして社長に返信するためのメールを打った。

『わかりました、昼休みにおうかがいします』

カチリとクリックをして、社長にメールを返した。

杉浦さんのデスクに視線を向けたけれど、彼はまだそこにいなかった。

トイレに行ったんじゃないとかテキトーなことを言ったけれど、本当のところはどうなんだろう?

それよりも、副社長が結婚をするって…。

その衝撃的事実は、胸の中に重くのしかかっている。

ちゃんと聞けばよかった、副社長に“つきあってもいいんですか?”って聞けばよかった。

その後悔も、同時に重くのしかかってきた。

2つの重さに耐えきれなくて、私の目から涙がこぼれ落ちそうになった。
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