東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
優しくて素敵な人
昼休み。

重い足取りでエレベーターに乗ると、最上階の社長室へと向かった。

「社長室にくるのは、3回目か…」

そんなことを呟きながら、社長室のドアの前に立った。

2回ほど深呼吸をして気を落ち着かせると、社長室のドアをノックした。

コンコン

「どうぞ」

ドアの向こうから声が聞こえたことを確認すると、
「桜井です、失礼します」

声をかけると、社長室のドアを開けた。

「ああ、つづりちゃん」

私の顔を見た社長は悲しそうに眉を下げて、私の名前を呼んだ。

「大丈夫だった?」

そう聞いてきた社長に、
「はい…」

私は呟くように返事をすると、首を縦に振ってうなずいた。

「座って」

社長にうながされ、ソファーに腰を下ろした。
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