東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「周りからは“聞き分けのいい、大人しくてしっかりした子供”だなんて言われてたけど…本当のことを言うと、光明はつらかったんじゃないかって思うんだ。

僕があの子に寂しい思いをさせてしまったせいで、そうさせてしまったんじゃないかって。

思春期によくある反抗期も、あの子にはなかったんだよ?

…まあ、それも全て自分のせいなんだけどね」

社長は親指で目尻をぬぐった。

「社長…」

そんな彼がかわいそうで、私は食べかけていたクロワッサンを半分にすると口をつけていない方を差し出した。

「あの、よろしかったら…」

私が呟くように言ったら、
「ありがとう…。

本当に、つづりちゃんは優しい子だよ」

社長はお礼を言うと、クロワッサンを受け取った。
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