東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「じゃあ、来週の金曜日は絶対に空けておけ」

そう言った父に、
「えっ?」

俺は何度目かの“えっ”を言った。

「つづりちゃんと約束しちゃったんだよ。

来週の金曜日に会社近くの立ち飲み居酒屋で、それも1回だけ顔をあわせる約束をしちゃったんだよー」

父の様子に、俺はどう返事をすればいいのかわからなかった。

「1回だけ?」

「そう、1回だけ」

「1回だけか…」

まあ、1回ぐらいだったら別にいいか。

お見合いのようなものだと考えれば特に問題はない。

「わかった、来週の金曜日ね」

そう返事をした俺に、
「ありがとう、光明!」

父は嬉しそうにお礼を言った。

無理だと感じたらそれっきりにすればいいと言う話である。

そんなことを思いながら、俺は父に今日の仕事状況を報告した。
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