東京恋愛専科～または恋は言ってみりゃボディブロー～

「――よし、今日も終わった」

パソコンの電源を切ると、私は息を吐いた。

その横に置いてある時計に視線を向けると、定時である５時を過ぎたところだった。

私は椅子から腰をあげると、
「それじゃ、お先に失礼します」

まだ仕事をしている社員たちに向かって声をかけた。

「はい、お疲れ様でーす」

彼らから声があがったのを確認すると、私はオフィスを後にした。

やれやれ、今日も終わったな…。

私は肩をコキコキと動かしながら、着替えをするために更衣室へと足を向かわせたのだった。

桜井つづり（ｻｸﾗｲﾂﾂﾞﾘ）、２４歳。

音響・映像機器メーカー『カシオペア』の派遣社員として働き始めて、ようやく１年を迎えたばかりのしがないＯＬだ。