東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
産業スパイで疑われた時、副社長は“俺があなたを守ります”と言って私の味方をしてくれた。

私の話を信じて疑わずにいてくれた彼を逞しいと思ったんだ。

酔っ払った村坂さんに絡まれた時、副社長はすぐに助けてくれた。

まるで走馬灯のように、副社長と過ごした思い出が頭の中を流れた。

――私は、副社長が好きだ

副社長に恋をして、副社長のそばにいたいって思ってる。

肝心な気持ちはまだ伝えていないけれど、ちゃんと伝えて、副社長の気持ちを聞きたい。

「――ごめんなさい!」

手の主である村坂さんに向かって、私は頭を下げた。

「お気持ちは嬉しいですが…私、神戸に行けないです」

「――そうか」

呟くように言った村坂さんに、私は頭をあげた。
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