東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
待っていた時間は短かったような気もするし、長かったような気もする。

「つづりさん!」

副社長が私の前に現れた。

「光明さん…」

先ほどよりも早いスピードで心臓が鳴っている。

「それで、伝えたいことと言うのは…」

「――好きです」

副社長の言葉をさえぎるように、私は言った。

「えっ?」

「私、光明さんのことが好きです」

驚いた顔で私を見つめている副社長に向かって、もう1度言った。

「つづりさん…」

「光明さんが好きです、だから…」

最後まで言えなかったのは、副社長が私を抱きしめてきたからだった。

「こ、光明さん…?」

いきなり抱きしめてきた理由がわからなくて、戸惑った。

一体どうしたのだろう…?
< 225 / 271 >

この作品をシェア

pagetop