東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「光明さん…」

はっきりと包み隠さず答えてくれた彼に、私の胸がドキッ…と鳴った。

「2人だけの世界に浸っているところ悪いんだけど、もうそろそろ…」

言いにくそうに言った社長に、
「あっ…」

「そうでしたね、仕事でしたね」

私たちは思い出した。

名残惜しいけれど、仕方がない…。

「つづりさん」

小会議室を出ようとしたら、副社長に声をかけられた。

「はい」

返事をしたら、
「もしよろしかったらですけど…仕事が終わったら、一緒に帰りませんか?」

副社長が言った。

「い、いいんですか?」

その誘いに驚いて、私は聞き返した。

「ええ、いいですよ」

そう言った副社長に、
「わかりました。

待っていますから、お仕事頑張ってくださいね」

私は笑いながら返事をした。

「はい」

笑顔で返事を返してくれた副社長に、
「じゃあ、また」

私が手を振って小会議室を後にしたら、彼も手を振ってくれた。
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