東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
『カシオペア』を退職して他の会社で派遣社員として働く予定だった杉浦さんは、今は正社員として『カシオペア』で働いている。

元から仕事ぶりはよかったし、周りからの評価も高かったから派遣で働くのはもったいないからと言う理由で、正社員として雇うことになったみたいだ。

それはあくまでも表向きの言い訳で、実際は梅里専務が“娘と結婚するならば正社員として我が社で働いて欲しい”と言う理由で社長と一緒に担当者に交渉したそうだ。

副社長との交際を認めてもらったその日の夜、私はナオに電話をして交際していることを話した。

「おめでとう」

ナオはまるで自分のことのように喜んでくれた。

「もし副社長と結婚することになったら、アタシも呼んでね。

アタシがつづりのことをキレイにしてあげるから」

続けてそう言ったナオに、
「あ、ありがとう…」

私は電話越しで苦笑いをしながら、お礼を言うことしかできなかった。
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