東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
一方の私は正社員には昇格せず、派遣社員として『カシオペア』で働き続けていた。

契約の更新はまだ先だし、これからのことはまだどうなるかはわからないから派遣社員として働いていると言う訳だ。

副社長との交際を認めてもらった初めての週末に、彼は私の両親にあいさつをするために実家を訪ねた。

初めは彼が勤務先の副社長だと言うことに両親は驚いていたが、すぐに副社長の人柄のよさに心が解れてすぐに仲良くなったのだった。

副社長が帰ることになった時、
「これからも、娘をよろしくお願いします」

彼に頭を下げてそう言った両親に、私は泣きそうになった。

いつも仕事で忙しくて、最後にいつ一緒にご飯を食べたのかすらも忘れてしまっていた両親のその姿に心を打たれた。

そして、私は両親に愛されていたのだと言うことを思い知らされたのだった。

いきなり頭を下げた両親に副社長は一瞬だけ驚いたけど、
「はい、あなたたちが愛情深く大切に育てた娘さんを必ず幸せにします」

すぐに返事をしたのだった。
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