東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
コインロッカーに荷物を預けると、『南京町』を散策することにした。

「すごいですね、日本にいるはずなのに異国にきているみたいです」

「横浜の中華街に近いものがありますよね」

さまざまな店を見て回りながら、私たちは話をしていた。

グーッ…と、お腹が鳴った音がしたので私たちはお互いの顔を見あわせた。

「もうお昼ですね」

腕時計を見ながら、光明さんが言った。

「あー、もうそんな時間ですか。

どこかで何か食べましょうか?」

「そうですね…」

光明さんは周りを見回すと、
「豚まんでいいですか?」

そう言って、豚まんが売っている店を指差した。

その店からは美味しそうな匂いがしていた。

「いいですよ」

私が首を縦に振って返事をすると、
「じゃあ、買ってきます」

光明さんはそこへ足を向かわせた。
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