東京恋愛専科～または恋は言ってみりゃボディブロー～

清潔感が保たれているツーブロックショートの黒髪に、たまご型の細いフレームの眼鏡が特徴的な男の人だった。

眼鏡越しにある二重の涼しげな目元を見たその瞬間、私の中で確信へと変わって行った。

ああ、間違いない…。

「つづりさん？」

光明さんに声をかけられて、
「あ、はい…」

私は戸惑いながら返事をした。

眼鏡越しの目と視線がぶつかった瞬間、私はそらした。

「行きましょうか？」

そう声をかけてルームキーを差しだした光明さんに、
「そうですね、部屋で休みましょう」

私は返事をすると、彼と一緒にエレベーターへと足を向かわせた。

何も気づいていない様子の光明さんに、ホッとして胸をなで下ろした。

光明さんと一緒にエレベーターに乗ると、６階のボタンを押した。