東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
その後ろ姿を見送っていたら、
「わっ…!?」

後ろから両手が伸びてきたかと思ったら、抱きしめられた。

その手の主に顔を向けると、
「こ、光明さん!?」

光明さんだった。

「で、出てきたなら出てきたって言ってくれればいいのに…」

抱きしめられたことと彼の存在に驚きながら言っていたら、
「つづりさんが話をしていたので」

光明さんは呟くように言った。

「話…ああ、はい…」

いつからかわからないけれど、見られていたらしい…。

とっくの昔に別れたし、隠す必要もないからいいけれど。

何より、相手は妻子持ちである。

「先ほどの人とつきあっていたんですか?」

そう聞いてきた光明さんに、
「大学生の時に1年ほど、おつきあいをしていました。

でも彼が就職をして、お互いに会うことができなくなってしまったので…その、自然消滅と言う形で別れたんです」

私は答えた。
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