東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
ヤバい、たったこれだけの出来事なのに心臓がドキドキと鳴り出した。

「行きましょうか?」

副社長がそう言って手を差し出してきたので、
「…えっ?」

私は訳がわからなくて、副社長と差し出された手を見比べた。

「何か?」

副社長は訳がわからないと言うように聞いてきた。

いや、そう聞かれましても…。

もしかしなくても、これは“手を繋ぎましょう”と言う彼からの意思表示なのかも知れない。

約数秒と葛藤した末、私は差し出された副社長の手を自分の手に繋いだ。

…手汗、大丈夫だよね?

それよりも心臓はドキドキと暴れているうえに、背中には変な汗が流れている。

暑いからと言うのが理由ではない。

「行きましょう」

「…はい」

私が返事をしたことを確認すると、副社長が歩き出したのでつられるように私も歩いた。
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