東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
副社長がどっちを連想しようが、それは彼の勝手である。

「へえ、そうなんですか。

アザラシの赤ちゃん、どうでしたか?」

ほら、何にも思っていない。

「かわいかったですよ」

そう返事をした私に、
「俺も見てみたいです」

副社長が言い返した。

駅のアナウンスが水族館がある最寄り駅を告げた。

「つきましたね」

副社長が声をかけてきた。

目の前のドアが開いた瞬間、私たちは電車を降りた。

水族館に到着すると、休みと言うこともあってかすでに大勢の人でにぎわっていた。

家族連れの方が多いけれど、私たちのようにカップルできている人たちもいた。

チケットを渡して水族館の中に入ると、
「時間も時間なのでお昼ご飯を食べませんか?」

副社長が聞いてきたので、
「いいですよ」

私は首を縦に振ってうなずいた。
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