東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「うわっ!?」

「きゃっ!?」

イルカがジャンプするたびに水槽から水しぶきが飛んで、前の方に座っていた私たちはあっと言う間にずぶ濡れになってしまった。

…なるほど、濡れるのが嫌だったから前の列が空いていた訳なのね。

高くジャンプをして空中にぶら下がっているボールを突いたり、トレーナーを背に乗せて水中で泳いでいるその姿はとてもかわいかった。

ショーが楽しくておもしろかったのはもちろんだけど、子供のように楽しんではしゃいでいたのは副社長だった。

頭から靴の先までずぶ濡れになっていたけれど、副社長は最後まで笑顔でショーを楽しんでいた。

本当に子供になったみたいだ。

その様子を横で見ながら、私は彼にますますひかれていることに気づいた。

副社長の一面を知れば知るほど、心が落ち着かなくて心臓がドキドキとうるさく鳴っている。

私は本当に、副社長に恋をしたみたいだ…。
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