東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「あー、もうダメだ。

追いつかない」

私のハンカチと同じように、副社長のハンカチも濡れてしまった。

「乾くまで館外をウロウロしますか?

こんなにも暑かったら少しくらいは乾くかも知れないです」

そう言った副社長に、
「そうですね、その方がいいと思います」

私は首を縦に振ってうなずいた。

会場を後にすると、手を繋いで館外をウロウロと歩いた。

不思議だ。

ただウロウロと歩いているだけに、こんなにも楽しい。

副社長と一緒で、手を繋いでいるからだろうか?

「びしょ濡れになりましたけど、楽しかったですね」

そう声をかけてきた副社長に、
「楽しかったけど、次に行く時はバスタオルを持参した方がいいかも知れないですね」

私は笑いながら返事をした。
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