東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
「一緒に食事をして名前を呼んでデートに誘われてキスをして、相手がそれらしい素振りを見せてきたって言うのに…それが勘違いとかうぬぼれで終わる訳ないでしょ!

相手がつづりのことを好きなのは、もう明白じゃない!」

力説をするように言ったナオに、
「ま、まさか…。

相手は副社長だよ?

ただの派遣社員の私なんかを好きになる訳ないじゃない。

あんな身分の高い人には、私みたいな平々凡々よりももっといい人がいるはずだよ」

私は言い返した。

「もう、そうやって自分を卑下しないの!

身分の違いで悩む時代はとっくに終わってるんだから、そうやって悪い方に考えないの!

今度副社長に会う時があったら、ちゃんと聞きなさい。

“私とおつきあいをしてもいいんですか?”ってね!」

ナオは鼻息荒くそう言うと、チョコチップスコーンをかじった。
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