きみは宇宙でいちばんかわいい


彩芭くんは、そっぽを向いた横顔のまま、なぜか、ずっと、動かずにいる。

彼は、なにを見ているのだろう。
いま、なにを考えているのだろう。

いつも目を見て話してくれる男の子だから、いっこうにこちらを向いてくれないことに、なんだか勝手に、すごく不安になってしまう。


「いっ……彩芭くん。あの、お休みの日は、それ……ピアス、してるの?」


声をかけるにしても、なにを言ったらいいのか、わからなくて。

目についたものについて、思わず、いきなり訊ねてしまった。


「え?」


それでも彩芭くんは、わたしの声をちゃんとキャッチして、そっと目線をくれたのだった。


「ピアス。はじめて見るなあ……と思って」


実は、彼の耳たぶにピアスホールがあることには、ずっと気がついていた。

ここに、ちいさな光が宿ったりすることもあるのかな、
なんて、たまに想像したりもしていたけど、実際に見ると予想以上に素敵で、どうしても意識が引っぱられてしまう。


「あー、うん。休みの日はだいたいしてるかも」

「へえ、そうなんだ! かわいいね、水色、すごく似合ってる」

「これ、アクアマリン。誕生石なんだよ」

「え、そうなの? ええと、アクアマリンってことは……」

「3月。俺が生まれてすぐ、両親がわざわざオーダーしてくれたんだってさ」

「ええっ、そうなの? うわぁ、すごい、めちゃくちゃ素敵だね」

< 103 / 285 >

この作品をシェア

pagetop