きみは宇宙でいちばんかわいい
彩芭くんは、そっぽを向いた横顔のまま、なぜか、ずっと、動かずにいる。
彼は、なにを見ているのだろう。
いま、なにを考えているのだろう。
いつも目を見て話してくれる男の子だから、いっこうにこちらを向いてくれないことに、なんだか勝手に、すごく不安になってしまう。
「いっ……彩芭くん。あの、お休みの日は、それ……ピアス、してるの?」
声をかけるにしても、なにを言ったらいいのか、わからなくて。
目についたものについて、思わず、いきなり訊ねてしまった。
「え?」
それでも彩芭くんは、わたしの声をちゃんとキャッチして、そっと目線をくれたのだった。
「ピアス。はじめて見るなあ……と思って」
実は、彼の耳たぶにピアスホールがあることには、ずっと気がついていた。
ここに、ちいさな光が宿ったりすることもあるのかな、
なんて、たまに想像したりもしていたけど、実際に見ると予想以上に素敵で、どうしても意識が引っぱられてしまう。
「あー、うん。休みの日はだいたいしてるかも」
「へえ、そうなんだ! かわいいね、水色、すごく似合ってる」
「これ、アクアマリン。誕生石なんだよ」
「え、そうなの? ええと、アクアマリンってことは……」
「3月。俺が生まれてすぐ、両親がわざわざオーダーしてくれたんだってさ」
「ええっ、そうなの? うわぁ、すごい、めちゃくちゃ素敵だね」