きみは宇宙でいちばんかわいい
「うわぁ、すごいね……! これならきっと、あしたは晴れるね」
「え、なんで?」
「朝に虹が出ると、次の日に雨が降ることが多いんだけど、夕方の虹は、翌日に晴れることが多いんだって」
ほー、と素直にうなずきながら、とても興味深そうに聞いてくれる横顔が、意外なほどかわいい。
ひょっとするとイギリスにも、虹にまつわるジンクスなんかが、あったりするのかもしれない。
聞いてみようとしたのに、ふと、あることに気がついたので、突然いてもたってもいられなくなってしまった。
「ねえ、彩芭くん。日本語ってね、数字で語呂合わせみたいな遊びをすることが多いんだけど、なにか知ってたりする?」
「え、なにそれ、知らない。たとえば、どういうの?」
「あのね、たとえば、“716”で、“なないろ”、って読めるでしょう」
「あー……? まあ、たしかに」
「それで、きょうの日付、なんと、7月16日なんだよ」
ふうん、と、わかったような相槌をうった直後、彩芭くんは、はっとした表情になり、がばりと顔を上げると、目を見張ってわたしを見たのだった。
「すげえ! なないろ、じゃん!」
「でしょう? そんな日に虹が見られるなんて、奇跡みたいだと思わない?」
高校生にもなって、ばかみたいなことではしゃいでいる自覚はあった。
だけど、彩芭くんが、同じ熱量か、それ以上に感心して喜んでくれるので、どうにも嬉しくなってしまう。