きみは宇宙でいちばんかわいい
「ま、けど、いいんじゃねえの」
「なにが……?」
「おまえはさ、もっと視野を広くもって、柊以外の男にも目を向けるべきなんだよ」
「……そんなこと、わかってるもん」
「いいや、わかってねえな」
全然わかってないよ、と。
もういちど念押しのように言ったお兄ちゃんは、おもむろに足を動かし、やがて、わたしのすぐ目の前に移動してきた。
そして、スウェットのズボンのポケットに手を入れると、妹をまっすぐ見下ろしながら、意味深に口角を上げたのだった。
「だって、おまえ、一回も想像したことないだろ? ななが他の男とデートしたら、柊がどんなふうに思うのか、なんて」