きみは宇宙でいちばんかわいい
あの日、デートに誘われたのは、ほとんどジョークだと思っていた。
すぐにテストが始まったこともあって、それ以降、具体的な話はしないままだったし、ふたりでいても、その話題になることさえなかったから。
そんな折、彩芭くんから電話がかかってきたのは、夏休みに入って一週間ほど経ったころ。
空いている日程を訊ねられて、理由を聞いたら、デートの約束したじゃん、とのことで、まさに青天の霹靂だった。
おかげで、電話口でどんなふうにきょうの取り決めをしたのか、あまりはっきりと覚えていない。
ただ、朝香ちゃんや柊くんの顔を思い出す暇もないままに、日程が決まってしまったのは、確かだと思う。
まったくおかしなことになってしまった。
本当に、もう少し、しっかりしないと……。
「――きなこちゃん」
容赦なく照りつける夏の日差しから逃れるために、うつむいていたはずが、いきなり強烈な眩しさに視界を奪われたので、思わず目を細める。
昼前だというのに、すでに高い位置にある太陽が、待ち合わせ相手の髪色に反射して、まばゆい光を放っていた。